アメリカ・米原子力規制委員会の警告 [状況と変動]
福島第1原発、余震で水素爆発の危険
米規制委が指摘
- 2011/4/7 0:51
【ワシントン=共同】福島第1原発事故の対策をめぐって、米原子力規制委員会(NRC)が、原子炉が余震によって壊れたり、水素爆発が起きたりする危険性など、さまざまな問題点を指摘する内部文書をまとめていたことが分かった。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が5日、報じた。
同紙は、日本に派遣されたNRCの専門家らがまとめた3月26日付の内部文書を入手した。
NRCは原子炉を冷やすための水の注入について「水の重さが耐震性に及ぼす影響を考慮すべきだ」と警告していることが判明。同紙にコメントした専門家によると、地震やその後の水素爆発によるダメージを考慮せずに水で満たすと、重みで原子炉格納容器のストレスが高まり、余震によって容器が破損する危険性が高まるという。
また、NRCは原子炉内の水分が分解されてできる水素などによって水素爆発が再び起きる危険性も指摘。爆発を防ぐため、日本政府に窒素注入をアドバイスした。
原子炉内部にたまった塩や、燃料の溶融によって、同原発1号機は水の循環が著しく妨げられており、原子炉の中には水がなくなっている可能性もあるとした。
反原発運動も熟知 米原子力委のヤツコ氏
言動に注目集まる
【ワシントン=柿内公輔】福島第1原発事故をめぐり、米原子力規制委員会(NRC)トップのグレゴリー・ヤツコ委員長(40)の言動に注目が集まっている。米原子力当局の「司令塔」として全米の原発ににらみをきかせるが、反原発派の大物議員の下で働くなど経歴も異彩を放っている。
NRCの「顔」となったヤツコ氏は1970年、ペンシルベニア州ノリスタウンで生まれた。ウィスコンシン大で素粒子物理学の博士号を取得後、非営利団体のアメリカ科学振興協会に在籍中に、議会の科学技術政策を支援する研修生に採用されたことで政官界とコネができた。ヤツコ氏も「ユニークな経歴がその後の仕事で役に立った」と米学会誌に語っている。
上院で原子力政策の助言に携わった後、リード上院議員(民主党)の政策アドバイザーに。同議員は、地元ネバダ州が候補に挙がる使用済み核燃料の最終処分場問題に反対するなど、強硬な反原発派として知られる。ヤツコ氏自身は多くを語っていないが、反原発運動に触れた経験が、ヒアリングを重視するNRCの方針や、ヤツコ氏がよく口にする「米国民の安全に責任を持ち続ける」という言葉に反映されているようだ。
3月28日に訪日し、事故原因や日米一体で取り組む安全確保作業を調査。日本政府高官や東電幹部と精力的に会談し、「事故は依然深刻な状況」と警告を発する一方、「米国はあらゆる支援を行う用意がある」とメッセージを発信し続けた。
コンビを組むエネルギー省のチュー長官の信任も厚い。米政治専門誌ポリティコ(電子版)は、「ヤツコ氏がNRC委員長を務めていること自体が、大統領の安全への強い思いの表れ」とするホワイトハウス高官の話を伝えている
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